素顔のひとり言

「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」の神秘

台北へ行って買ってきた土産の一つに「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」がある。もちろん、このように書いても、何のことなのか判るような人は多分いないと思う。実は、これはCDのことで、正しくは『六字大明咒』と云う名称の梵語(ぼんご=古代インドの仏教語)CDの一枚である。

その内容は、琵琶や木魚など古代楽器の演奏に合わせて「仏教円満自在組」と云うグループが30分近くも静かに歌い続けている。何を歌い続けているのかと云うと「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」と云う六文字の梵語を、ただひたすら、繰り返し歌い続けている。それだけのCDなのだ。もちろん、私は、そういう内容だと知っていて買ったのではない。日本に戻って聴いてみて、初めてそういうCDなのだ、と知ることになったのだ。そのCDを購入した店は、仏教(密教)、或いは道教関連の仏具を扱っているところで、CDショップなどではない。だから、もちろんタイトルの『六字大明咒』からしても、密教か、道教かの呪術的要素をもったCDであろうことは推察していた。ただ、まさか30分近くに亘って、ひたすら「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」を繰り返す歌唱だとは思わなかった。

このCD自体の説明書によれば、この梵語「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」は、密教で云うところの「真言」(呪術的言葉)で、心身が清められ、やがて観音菩薩と一体化していく効能があるらしい。本当のところ、私はもっと超能力的効果が期待できるものかと思っていたのだが、そういうこととは微妙に異なるようだ。ただ、最初はちょっと拍子抜けしたようなCDではあったが、何度か聴いているうち、私は妙な感覚に誘われていくのを感じ始めていた。

その感覚を、言葉で表現するのは大変難しい。何か…幼い頃…いや…もっと向こうで、耳にしたことのある音楽と歌唱であるような気がしてきたのだ。この歌を、もし言葉を知らずに聞いたのなら、日本人の耳には「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」とは聴こえない。多分「ほんまにへぇへぇほぉ」とか「どんまいべぇべぇぼぅ」とか云った風に聴こえてしまうはずだ。雰囲気的には「牛追い唄」のような感じなのだ。ゆっくりとした曲調で、何度も同じ旋律が繰り返される。ところが、これが不思議なほど心地良い。最初こそ拍子抜けして、首をひねったが、これは意外に大きな発見かもしれないと思えて来た。

まず、精神をリラックスさせる作用がある。日頃の緊張感が解けるのだ。それでいて、眠くなるわけではない。むしろ、頭脳そのものはクリアになる。何かしら、心なのか、頭脳なのか解からないが、淀んでいたものが溶け出して、澄んだ流れにでも変わっていくような不思議な清涼感がある。特に実際に声を出して「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」と繰り返すと、その作用が顕著となる。したがって、これは元々が真言であるから歌唱する必要はないわけで、たまたま退屈な旋律が符合しているだけで、要するに口に出して「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」と繰り返し牛追い唄のように唱え続ければ良い。こういうものは心の中で唱えても効能は乏しく、実際に口に出す、と云うことが何よりも大切だ。日本人の場合は、真言と云うより呪文と思えば良い。幸福な境地にいざなってくれる呪文だと思えば良い。特に苛立っているようなとき、焦っているようなとき、堕ち込んでいるようなとき、悩んでいるようなとき、辛くなっているようなとき、この言葉を口に出して、何度もゆっくりと繰り返すのが良い。あまり早口だと、効能は劣る。

こういう真言の良いところは、信仰心がなくても実際に口に出して唱え続けていれば、その成果が表れることだ。そういう意味でも、普段、あまり神仏の前にひざまづかない人にもお勧めできる。「オン・マニ・ベイ・メイ・フォン」は、間違いなくあなたを幸福な境地にいざなう魔法の言葉だ。


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