素顔のひとり言

「占いロボット」は作れるか

最近、さまざまな分野でロボットが活躍し始めている。そこで「占いロボット」を作ろうという計画が、実は“進んでいない”のだ。何故かというと、今のところ、需要が見込まれないからである。多くの人達は、実は占いに対して“癒し”や“救い”を求めても、“的確な未来”や“予言”は求めていないからである。人間の心理とはおかしなもので、現在「占い」自体は日常的に“顔を出している”が、それはあくまで“癒し”や“救い”や“パワー”の心理的な効果を担う意味からであって、“未来予言”としての位置づけからではない。それでいながら「占いサイト」などでの宣伝文句は「的中する」ことを極端に並べ立てているのだから、矛盾も甚だしい。多分、そうしないと“飛びついて”くれないからだろう。しかも、そこに記されているのは“心理描写”が八割で、具体的な“予言”など片隅にしかない。そうしないと“売れない”からだ。つまり、ほとんどの占いサイトの内容は大同小異で、違いなどない。TVとか雑誌とかで“名が知られている占い師”のサイトも、無名に近いような占い師のサイトも、中身的な違いはほとんどない。基本的には回答の中身が“本当の占い”に近いサイトほど売れなくなる。奇妙だが、それが実態のようだ。

近年、あらゆる分野でコンピュータが活躍し、ロボットが出現しているが、占いの分野では、今一つ立ち遅れていて、本当の意味でのコンピュータ化も、ロボット化も、90年代に一時的に進んだがそこで止まっていて、この十五年間まったく進歩がない、というのが現状だと思う。90年代に進んだのも、実際には“占いの計算とか作図法”であって、占いそのものの知識や技術の組み込みではなかった。実は人間のように判断できる、つまり「占い師」のように“回答する”コンピュータを作るのは相当に難しいらしい。そこでどうしても“大雑把な分類”から“回答を引き出す”方式となる。ところが人間は“百人百様”だから、そういう大雑把な分類で、本当に納得できる回答など作れるはずがないのだ。例えば12星座分類ですべての回答が作られたら、ワンパターンすぎて面白みがない。そこで最初は実際の占い師が行うように、いくつかの面から回答を総合的に引き出すような方式を用いようとした。ところが、コンピュータでそういうものを作ろうとすると、必ず“矛盾した回答”が出てきてしまう。人間の場合には、矛盾がある場合はその“強い方”だけを述べたり、“両方を混ぜながら”述べたりするが、コンピュータは“微妙な言い回し”が出来ないので、丁度、自動翻訳機を使った時のような“意味不明な個所”が生じやすいのだ。

現在はかなりコンピュータも進んでいるので、相当に時間をかけ、詳細に打ち込んでいけば、或いはかなり“矛盾を抑えられる”回答を引き出すことが可能となっているかもしれない。但しコスト面から、なかなか実用化は難しい。それに、仮にそのロボットが“正しい回答”を引き出してくれたとしても、それで相談者が納得できるかというと、それはまた別の話で、多くの場合は“合理的すぎるロボットの回答”は情緒的に“受け入れがたい”ものとなる。そう、人間というのは、この“情緒的な部分”を持っているので、どんなに回答が正しかったとしても、正しいから受け入れるとは限らないのだ。

早くからそのことに気付いていた「占いコンテンツ」の経営者たちは、極端に言えば「占い」を“お飾り”としたコンテンツの制作に乗り出した。それは丁度「開運印鑑」の販売者たちが、占いをお飾りとして印鑑を販売する手法と似ていた。つまり、実質的には心理学的な“癒し”や“トラウマの克服”を文章に盛り込むことで、“当たらなくても求められる”「占いのサイト」を作ることに成功したのである。この場合、占いはお飾りなので、実質的に「的中する」必要性はない。それよりも“誰にでも当てはまる”優しく、解りやすく、勇気と情熱を引き出すような文章が求められた。その結果、占い産業は一大ブームを巻き起こし、本当の占い師が占いとしての文章を書くより、占いをお飾りとした“癒しの文章”の方が高評価を受け、多くのファンを掴むという現象が起こった。但し、これが“本当の占いファン”なのだと、コンテンツの経営者たちは誤解してしまった。ここから「正当な占い」が“無力化する”時代が始まったともいえる。

正当な占い師の価値が下がり始めたのである。極端なことを言えば「正当な占い」などいらない、という雰囲気がコンテンツ業界で定着したといえる。ところが、実は「占い」そのもののファンも当然のことながら居たので、そういう人たちにとっては“サイトの占い”が結局は“いつも同じ結果”で、占いではなく「読み物」として心地は良いが、結局は“それだけ”であることにだんだん気づき始める。そうなったことで、徐々に「占いサイト」から人が離れ始めた。

つまり、日進月歩なはずの15年間を「占い業界」は“空白の時”として過ごしてしまった。本来であれば、いかにして占いの専門的な知識や技術をコンピュータ化し、未来の「占いロボット」に役立てていくか、追求すべき時代であったものを、頭から無理とあきらめてしまったために、本当は“見えたかもしれない未来”は閉ざされたままと言える。しかし、同時にそれで「良いのかもしれない」と思う部分もある。現状の「占い」はまだまだ未完成であり、中途半端なものでしかない。それを“完全な答え”だと認識してもらっては困るのだ。そういう意味では「占いロボット」など夢のまた夢でしかないのかもしれない。


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