今日の迷言・余言・禁言

「密教呪術」で全員完治させた「即身成仏の塚」

日本には古くから“高僧”“怪僧”が沢山いる。特に密教の方には、あまり知られていない高僧が多い。それを代表するような人物が山形県庄内町に今から380年前に出現した「容海」「千光院」と名乗る二人の密教僧だ。むろん江戸時代のことである。その年、山間の村には疫病が蔓延したのだ。謎の伝染病で、みんなバタバタと倒れていく。住民の誰もがおろおろするばかりだった。そこに突如現れたのが容海と千光院だった。ふたりは密教の呪術で「疫病から村人を救う」と誓いを立てた。そして不眠不休で二週間、呪術と祈祷を続けていた。その結果、謎の病で苦しんでいた人々が、次々と完治し出したのだ。既に亡くなってしまった人は別として、それ以降の人達はいずれも快癒した。現在でも、そこは県道360号線が南北に貫く「廿六木(とどろき)」地区として名残りをとどめる。ふたりの密教僧はそこに住み着き、呪術と祈祷を繰り返して人々を守り続けた。そして「われわれは死んでも疫病から村人を守り続ける」と約束し、先に死んだ方を村の南端に埋めてネムノキを植え、後から死んだ方を村の北端に埋めてマツの木を植えて欲しいと頼んだ。だが、実際には「千光院」が亡くなって南端に埋められるのを見届けると「自分も、もう長くないので生きたまま埋めて欲しい」と村人に懇願した。こうして、すぐ北端にも穴が掘られて、生きた姿のまま埋められる儀式、密教的には「即身成仏」の呪術なのだが、それを「容海」は挙行させた。こうして、今も南の「上塚(千光院の墓)」はネムノキが見守り、北の「下塚(容海の墓)」は巨大な松の木が見守っている。もちろん、その伝承は受け継がれて、地元の人たちが供養も欠かさないが、今日まで疫病も感染症も発症していない。生きながら地中に埋められ、村人たちを救い続けるという“覚悟”とは、どんなものだっただろうか。そして、実際に守られてきたように見える“誓い”は、どう称えれば良いのだろうか。


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