今日の迷言・余言・禁言

「熟成」を待てなかった作者&出版社

昨日も23歳で亡くなった“才能ある女性”をここで扱った。今日も又23歳で亡くなった“才能ある男性”を扱わねばならない。そこで、今日は少し観点を変えて述べていきたい。その前に、一応、“23歳の死”がどういうことからだったのかの経緯を伝えよう。彼は「恵口公生」という新人漫画家だった。23歳で昨年『少年マガジン』で連載を開始したばかりだから、われわれから考えると、まだまだ発展途上ともいうべき段階にある。けれども、おそらく本人としては「この作品でダメなら…」という気負いが強かったに違いない。「キミオアライブ」という作品で、題名がちょっと解かり辛い。作中の主人公の名前が「君生(きみお)」なので、実際には「君生アライブ」というような意味を持つタイトルなのに違いない。そして、その「君生」は作者自身の投影でもあったに違いない。なぜなら作者は「恵口公生(えぐちこうせい)」だが「公生(きみお)」とも読めるからである。そして、その主人公は、難病を克服して、小さな夢をひとつ、ひとつ叶えていくことに必死になっている。その姿を描いた作品である。連載してきていたので、その第一巻が単行本となって出版された。ところが運悪く、その発売は「緊急事態宣言」が出された時に重なった。その結果、本人の希望とは裏腹に、単行本はまったく売れなかった。その売り上げ数字によって、出版社から“連載の打ち切り”“続巻単行本の発売中止”が決定されてしまった。作者には、完全に前途が閉ざされてしまったのと同じであった。23歳の新人漫画家は、“自らの夢”を次々と実現させていく少年を描き出していたのだが、その「君生アライブ」は終わりを告げたのだ。彼が、もう少し忍耐強ければ「とりあえず今は撤退しても、また新たに挑戦していこう」と考えることが出来たに違いない。けれども、彼はいろいろと努力し挑戦して、やっと掴んだ“命綱”としての連載だったに違いない。結果として突き付けられたのは「誰もお前の漫画など期待していない」という残酷なものだった。もし出版社が、本当に彼に才能を見出していたなら、もう一度のチャンスを与えてやるべきだった。少なくとも、連載の打ち切りや、続編の発売中止は「緊急事態宣言」期間内での結果であることを考慮してやるべきだった。もちろん、人気稼業は、結果としての数字がすべてに優先する。ただ私が観るところ、題材を変えれば十分に人気を出しそうな素質は備えている。おそらく、作者自身も、そして出版社も、すぐに成果を欲した。待てなかったのだ。熟成して“たわわに実る果実”まで時間をかけ育てていこうとはしなかった。


最近の記事はこちら

5億4000万円「金券ショップ」も加担している⁉

2014年~2016年のわずか2年間の間に5億4000万円分もの切手が「金券ショップ」で換金されていたことが明らかとなった。それも換金したのは、東京の芝郵便局と神田郵便局の当時“課長”と“課長代理”と…続きを読む

作る「銅像」間違えている“お粗末”芸術家

有名人が、その生れ故郷に彫像や銅像を建てられることは珍しくない。そのほとんどは、その街の“誇り”として、記憶に遺したいから建てられる。ところが、たまにはまったく別の目的から、彫像や銅像を建てられること…続きを読む

「500年の寺院」と一体化したホテルが誕生

どのホテルに泊まるかによって、旅の想い出は大きく変わってくる。せっかく京都に泊まるなら、“京都らしいホテル”が良いに決まっている。そこで、おススメなのが9月28日から開業する三井ガーデンホテルだ。一見…続きを読む

占星学による「死」の予兆

人間にはさまざまな“生き方”がある。それらを批判することは簡単だが、それらから“学ぶ”ことの方が人生には役立つ。昨日、タレントの岸部四郎氏(71歳)が今年8月28日に心不全で亡くなっていたことが公表さ…続きを読む

現存する世界最古(⁉)「金箔天文図」公開

何となく「金箔天文図」などと言うと“妖しく”聴こえて良い。実際に金箔を貼り付けた天文図なのだから「金箔天文図」であるのは間違いがない。そして、現存する天文図としては一応“世界最古”であることも事実だ。…続きを読む

Copyright© 2015 NAMIKISEIRYU All Rights Reserved.