素顔のひとり言

ネットバブルの旋律

日本では1980年代後半、異様なほど株価や不動産が上昇していた時代があった。日経平均は4万円近くまで高騰し、それ以上に不動産価格は跳ね上がっていた。多くの人がそれらに飛びつき、やがて一気にバブルは崩壊した。当然その当時に土地や株に手を出していた人たちの多くは深い痛手を負った。

それから10年ほど経って、今度は「ネットバブル」と呼ばれる時代が到来した。1万円台へと低迷していた日経平均は再び勢いを取り戻したかのようであった。但し、この時急上昇していたのはIT関連の株に限られ、次々と新興市場に新たなIT企業が名を連ねて来た。僅か数名の独立まもない企業が、あっという間に上場し何十倍もの株価に跳ね上がる。そういうことが珍しくない時代であった。実際、この時にもっとも注目されたのがアメリカではビル・ゲイツであり、日本では孫正義であった。それを象徴するソフトバンクの株価は2年ほどで20倍となったが、バブルが崩壊すると一気に崩れ、売りが売りを呼んで倒産の危機にすら変わった。これは当時のネット新興企業はどの企業もそうであり基盤の脆弱な企業ほどあっという間に崩壊してしまった。ただネットバブル崩壊後も生き残ったIT新興企業は2003年以降再び勢いを取り戻しつつあった。じわじわと株価も上がり、土地・不動産もアメリカにつられる形で上昇し始めていた。

ところが日本ではライブドア事件以降、あいまいさの残る新興市場から投資家が離れて資金が集まらなくなった。せっかく盛り上がりかけた若者たちの投資への関心も波が引いたように消えてしまった。加えてアメリカのサブプライム問題が起こって世界の投機資金が一気に逆流し始めた。それでなくても投資家が離れていた日本の新興企業の株価は身動きがとれないほどに落ち込んだままである。

実は新興ネット企業と、極めて似た経緯をたどった人物が詐欺事件で逮捕となった小室哲也なのだ。彼が一世を風靡していた時代、それはまさしくネットバブル期に符合する。そして彼の用いた音楽手法もまたIT音楽であった。それまでとは楽器が異なり、作曲手法が違った。つまりIT関連機器が進歩したことによって彼の音楽・作曲は誕生したのだ。その成果として一人勝ちのような形で小室ファミリーの歌が売れ、金が入った。莫大な金が一気に飛び込んできた。彼は100億以上とも言われるこの金がバブルによるものであることに気付かなかった。そこに彼の最大の失敗がある。

何の商売・事業・投資・ギャンブルであれ、一気に得られた金と云うのは失われるのも早い。奇妙なことにそうなっているのだ。運命学的には「回転財」と呼ばれる。回転寿司ではない。この回転財はあくまでも回すものであって寝かせておけるものではない。したがって、どうしても新たな事業・商売・投資に回してしまう仕掛けになっているのだ。したがって、あの時黙って取っておけば…などと後から云うが、実際には放っておけない仕組みになっているのだ。これは何10億でも何100億でも同じことである。世の中と云うのはうまい具合に出来ていて、たくさん入って来る人にはたくさん出て行くところが用意されているものなのだ。

同じ事業や商売でも、地味に入って来るお金には本人の元に残ろうとする性質がある。そういう点から云うなら、お金は徐々に増えていくのが理想的なのだ。地味に入って来るのに派手に出て行くと云う方は、潜在的にお金と云うものを嫌っているに違いない。人でもお金でも、自分を嫌っている人には近づきたくないものだ。だから、すぐ出ていくのだ。お金にまつわる厭な事件や問題が報道されるたびに、そういう人は「結局お金が悪いんだ」と思ってしまう。つまり、お金を嫌うようになる。お金の方もそれを何となく感じるから、近づいては来ないのだ。当然と云えば当然のことではある。私も、もう少しお金を愛さなければ…。


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