素顔のひとり言

人間を叱る太陽と大自然の脅威

各地で「お祭り花火」の季節となった。私の暮らす札幌でも今日は花火大会があるのだが、どうも天候の方がすっきりしない。元々の予報は晴れだったはずだが、今日になったら「夕方から雨」の予報に変わった。マンションの広いベランダから豊平川河畔の花火大会が見られる―と云うことも販売時のウリだったはずだが、見慣れてしまうと特別の感動もない。ましてやここ数年、この時期の天候があまり良くない。夏祭りは暑いから良いので、気温が25度に達しない祭りは今一つ盛り上がりに欠ける。

盛り上がりに欠けると云えば、マスコミが騒ぎたてた割には日本における「皆既日食」も悪天候で精彩を欠いた。最良の観測地と云われた悪石島の天気予報は当初「晴れ」と云われていたのに「曇り」に変わり、やがて「雨も…」と変化し、その日・その時間帯になると「暴風雨」となって、とても観測どころではなくなってしまった。皆既日食やダイヤモンドリングは晴天であってこそのものなので、ツアーに参加された方達には「お気の毒に…」と云うしかない。今回の皆既日食にかこつけて「占い商売」をしていた人たちもいるが、元々現代の占星術において「皆既日食」に特別の意味が存在しているわけではない。皆既日食に意味を持たせていたのは古代の占星家(天文家)、及び古代の為政者たちなのだ。

古代の占星家たち、例えば都市国家ウラリットの占星家は「日食」を「王が汚される日」と捉えていた。と云うのも、輝く太陽を王冠を輝かせている王に見立てていたからだ。したがって「王は彼の家臣に攻撃される」といった予測が行われることになる。これは実際の遺跡粘土板文書中の記録だ。したがって、実際に王は都を去るとか、身代わりの王が立てられるとかした。身代わりの王は神官の息子から択ばれ、百日が経過後殺されて丁重に葬られた。

古代ギリシャの時代には、BC585年5月28日?の日食が奇跡を起こし、メディア王国とリディア王国とが15年間続いた戦争を、日食が出現して辺りが闇に包まれたことで終結させている。古代のインドや中国においては、日食を「太陽が悪魔や龍に飲み込まれる現象」と捉えていて、その出現する天空位置に大きな意味を持たせ「黄幡神(おうばんしん)」や「龍の頭(ドラゴンヘッド)」として占星術に取り入れている。

日本では推古(天皇)36年3月2日に日食があったが、日食の日が近いことを心配した天皇は2月から病が重くなり、日食から5日後の3月7日に崩御されたという記録がある。どうも日食と云うのは不気味な印象を為政者たちに与え続けたようだ。無理もない。皆既日食の場合は太陽が徐々に欠けていって、辺り一面が真っ暗となり、急速に冷え込み、まさしく「暗黒の昼間」が出現するのだ。これに古代人が恐怖を感じない筈がない。したがって、一部の商売上手な占星家が「皆既日食は幸運のチャンス」などと喧伝していたが、古代人が幸運など感じるはずがないのだ。むしろ「天空からの戒め」として、暗黒の昼間を体得したに違いないのだ。そういう意味では「皆既日食ツアー」に参加し、人間界の科学である長期予報が外れて大自然の力を思い知った人達は古代人に近付いたとも云える。

そうは言うものの…私は以前から「長期予報」というモノに疑問を持っている。私の占いが当たる確率よりも低いくらいで、まあ科学の粋を寄せ集めているはずだが、私の占いと同じように今一つ信頼(?)に欠ける。いったん梅雨明けを宣言したはずの関東も、曇りや雨の日が続いている。それに「北海道に梅雨はない」という表現も、近年は嘘に思えて仕方がない。気象変動が起こっているなら、その辺も見直すべきではないのか。

それはともかく今回の皆既日食現象は、先にも述べたように幸運よりも大自然の脅威を改めて知らしめる効果があった。それよりも少し前、北海道の大雪山系で真冬の寒さが老人達を飲み込み凍死させた。その二日前には東北で竜巻が老人のいる民家を飲み込んだ。その前日には山口の集中豪雨で土石流が老人達を飲み込んだ。そう…みんな古代人がとらえたように飲み込まれているのだ。大自然は、無言の内に我々に何かを伝えようとしている。


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