素顔のひとり言

日本の中のジャパンの魅力

久しぶりに和風温泉ホテルに泊まった。それも比較的新しい完全な和風のホテルであった。奇妙なもので、日本人ではあっても純和風ホテルのたたずまいは新鮮に見える。

まず日本人観光客、それもご老人達の団体ツアーが多い。そういう方々は総じて口数が多い。ウイークディーだと云うのにロビーはごった返していた。団体客ではない私は、和服姿の仲居さんが最上階の部屋まで案内してくれる。その部屋の玄関扉は引き戸になっていて、ホテルで引き戸と云うのもおつなものだ。いや、玄関だけでなくトイレの扉も引き戸になっている。床の間付きの純和風の部屋だが12畳以上ある。座イスの傍には肘掛が置いてあり、最初から肘掛椅子としていないところが和風のようだ。窓も、下の方はわざと障子が嵌められている。青畳の間や四角い和風照明も本当に久しぶりだ。和菓子が座卓の端に置かれたお釜型の菓子入れに入っている。セーフティーボックスも赤い和風箪笥型で美しい。床の間には掛軸が掛かり、窓からは中庭が見渡せる。和服姿の仲居さんによって和菓子が運ばれ、日本茶が淹れられる。

それにしても異国の国に来たような感じを受けるのはなぜなのか。私は日本人だ。この国で育ったはずだ。言葉だって通じる。日本のしきたりも知っている。なのに…。日本人じゃないのか…。そういえば数年ぶりに日本間で胡坐をかいて、久しぶりだったせいかお尻の納まりが悪かった。貸切風呂の丸い湯桶にも違和感を感じた。

海外のホテルへ行って違和感を感じることは珍しくない。ヨーロッパのホテル等ではお風呂の浴槽がなくてシャワーしか備えていないことも珍しくない。逆に高級なホテルだとシャワールームと浴槽室とが別物になっていて、慣れないとこれまた使い勝手が悪い。高級なホテルでは冷蔵庫を置いていないケースも多い。日本人的感覚からするとサービスが悪いと思うのだが、元々高級なホテルに泊まる客は冷蔵庫など使わず、ルームサービスで運ばせる、と云うことらしい。上海のホテルは浴槽の水抜きが出来なくて危うく溢れさせるところだった。エジプトのトイレは四角形で妙に座り心地が悪い。

けれどもここは日本であり、私は日本人であり、和風と云うのは「日本的」と云う意味のはずだ。それなのに、なぜ違和感があるのか。しかも、刀も差していないのに、なぜお侍さんに戻ったような気分になれるのか。京都の時代村では感じられなかった何かがある。そういえば、私が自宅として和室を使っていたのは、もう25年以上前のことになる。それ以降は、和室そのものはあっても絨毯を敷き洋室のように使用していた。現在のマンションは全室フローリングで、畳を使用していないせいもあって椅子を常用している。リビングはもちろん鑑定室も洋室だった。部屋の作りのせいでインテリアも洋風となっていることに改めて気がつく。貸切風呂に入るのも、何となく人前で裸となることに慣れていないせいだ。

幼い頃、私は日本式の家屋で暮らしていた。窓にはすべて障子が貼られ、冬になるとそこから隙間風が吹き込んで来ていた。強風が吹くと揺れ、雨が降ると雨漏りがした。石炭ストーブが赤々と燃え、その周りに子供達は膝小僧を抱えて自然と集まった。童話やおとぎ話には洋風のものがあって、西洋風のお城の建物が描かれていたりする。私はそれを見ながら洋風の家に憧れたものだ。そしていつも自分が、洋館の中で優雅に暮らしている想像をしては楽しんだものだ。

大人になって、素晴らしい海外のホテルにも何度か泊まってみたが、ホテルの部屋はどれも画一的で私自身は好まない。それらとは違った感触を純和風ホテルは与えてくれた。もしも前世と云うものがあるなら、果たして私はどのような環境下で暮らしていたのであろうか。


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