素顔のひとり言

正しいことと、善いことと、縁と、タイミング

拉致問題の被害者である横田滋さんが札幌の郊外で講演をしたらしい。…らしい、というのはニュースで報道されていたからだ。今も全国を飛び回って講演されている姿には頭が下がるが、現実的には大衆の共感が徐々に薄れていっているのは否めない。以前なら全国ニュースだった報道も、今はその地方でしか取り上げない。日本人として忘れることはできなくても、実際問題としてどうすれば良いのか、明確な答えを持ち合わせないのが大衆だからだ。

拉致問題の象徴であった横田めぐみさんは、その生年月日からすると「愛する人と引き離されて懊悩する先天運」を持っていた。誤解されては困るので付け加えておくが、それは「拉致される」ことを意味していたのではない。ただ、永い人生の上で少なくとも二度以上は、愛する人と引き離されて懊悩する体験を持つであろうことが予見される生まれであった。具体的に云うと彼女が出生した時、金星と土星とは天球上180度で向かい合っていた。そして彼女が拉致される年齢に差し掛かった時、トランジットで動いて来た土星が、出生時の金星位置に重なり、当然ながら出生時の土星とは180度向かい合うこととなった。この時期を狙い澄ましたように拉致は起こっている。

もちろん、このような星の配置を持っている人が誰しも拉致されているわけではない。或る人は親が急死して引き離され、或る人は兄弟が海外留学して引き離され、或る人は両親が離婚して片親と引き離され、或る人は飼っていたペットが急死して引き離され…というように、それぞれ引き離され方はまちまちなのだ。ただ「愛する人と引き離されて懊悩する」という点では共通した体験を持つ。星からの予告を避けて通ることはできない。

拉致問題の場合、運命的とは云え人災でもあるので、拉致された側が拉致した側に対して返還を要求するのは当然である。横田めぐみさんの場合、北朝鮮は一応「亡くなった」と回答し、その遺骨とされるものも返還している。そして、遺骨返還の前に彼女の娘とされる「キム・ヘギョン」ちゃんを公開している。その横田氏からすればお孫さんだが「逢いたい」旨のメッセージを伝えて来ていた。「ぜひ迎えに来てほしい」とさえ言っていたようである。それらに対して、横田氏は「北朝鮮の陰謀」として無視した。あの当時の国内的な雰囲気として、素直に逢いに行けない状況であったことはまことに残念であった。

結果的に、北朝鮮は窓口を閉ざした。

私はあの時、横田氏夫妻は「お孫さんをまず確保」して、その後で「娘さんの救出も願う」という形を、なぜ取れなかったのかと残念でならない。もし、当時の政府やマスコミの中に、北朝鮮行きを引き留めようとする動きがあったとすれば、その責任は大きい。人間の運命というものを常に扱っている私に言わせれば、正しいことは必ずしも善いこととは限らない。人間の運命には、たとえそれが正しくても通らない時期があり、正しさを強引に通そうとすると逆境や不遇に甘んじなければならない時期がある。

さらに人間の「縁」にはタイミングと云うものがあって、どんなに縁の深い相手であっても、せっかく訪れたタイミングを外してしまうとなかなか交わることができない縁もある。これは男女間にも云えるが、互いに想い合っている者同士であっても、ごく自然に訪れたタイミングを外してしまうと、結ばれ合うことが出来ないままになってしまうケースは多い。これは遠く離れた親子・兄弟の逢うタイミングでも云える。小さなこだわりが大きなチャンスを逸してしまう縁の不可思議を忘れてはならない。

横田夫妻とキム・ヘギョンちゃんは、あのタイミングを外すと、逢うことも一緒に暮らすことも難しくなってしまうだろうことを私は予感していた。丁度、めぐみさんが拉致され失った年齢に差し掛かっていたあの時期こそ、お孫さんが娘さんに成り変って一緒に暮らし始めるのにふさわしい時期だったのだ。誤解を恐れずに書くと、仮に今、娘(めぐみ)さんが戻ったとして、もうその年齢は娘さんではない。40代の中年女性なのだ。人間は大きな運命的出来事が起こると、しばしばそこから時間が止まってしまう。けれども世の中は動いていて時間は止まらず、明らかに自らも変わっていかなければ、同じ場所にしがみ付いているだけでは、運命の神は幸運と微笑みを与えてはくれないのだ。


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