素顔のひとり言

研究・実占できる占いの限界

一般の方が思われているよりも「占い」の種類ははるかに多い。細かく分類すれば数百を数えてしまうだろう。したがって当然のことながら、そのすべてを知ることはできない。一般の占い師の方に比べれば、数多くの占いを実占してきた私だが、まだまだ体験できていない占いの数は多い。例えば「太占(ふとまに)」と呼ばれる占いがある。これは太古から日本で行われてきた占いで“獣骨占い”の一種だが、神事でもあり、現在でも行っている神社がある。シカの肩甲骨を使うので、まず、それを求めなければならない。呪文を唱えながら肩甲骨を焼き、そのひび割れ方によって占うものだ。「太占」の書籍は遺されているが、地域によって占い方法や解釈の仕方が微妙に異なる。ヨーロッパの神殿などで太古に行われていたのは「肝臓占い」で、これは動物の肝臓を用いる。つまり、動物をその場で解剖する“怖い占い”だ。これも、その占い方や判断方法を述べた書籍を持っているが、実占は難しい。中東の「鉛占い」も伝統的な占いで2000年以上の歴史がある。比較的簡単だが、通常、鉛を求めるのは難しいし、鉛を煮る大きな鍋が必要だ。比較的入手しやすいもので占うことが可能なのは「コーヒー占い」だ。昔の“煮出し式コーヒー”で行うのが一般的で、その方が滓が残って“滓による紋様”が出現しやすいからだ。私は昔「ヌビア式コーヒー占い」を行って頂いたことがあるが、高齢の占い師はカップを回しながら無表情で紋様を読み取り、なかなか興味深い判断方法だった。

一見、非科学的な占いが多いように思うかもしれないが、元々占いは非科学的なもので科学的である必要はない。大体、科学的占いなどというものはない。西洋占星学を“科学的な占い”だと思っているような人もいるが、全然科学ではない。“科学的な装いをこらした占い”ではある。昔、ミシェル・ゴークランが“科学的に分析”したことがあるが、その結果を現在も重視している占星家は何人いるだろう。科学的な答えは信用しないのが占星家なのだ。“科学的な占い”である筈がない。一見、難しそうに見える技法も、実際にはほとんどの占星家がきちんと使いこなせていない。本当に使いこなせている占星家は、あれこれ説明などしないものだ。病院の医師でも名医は黙って執刀する。あれこれ語りすぎる医師は信用できない。そんなのは研究の時点で行っていれば良い。占星学の技法など腐るほどある。そのどれを用いるかは日頃の研究の中で培うべきで、実占の場であれこれ言うべきではない。

逆に、中華系の占いを行う人の中には“古典的だから正しい”という、これまた“誤った考え方”に縛られている占い師も多い。大体、中国の古典原書を読みこなしていけば、いかに現代には当てはまらない解釈を述べているかに気付きそうなものである。700年も前の本とか、500年も前の本とか、何の検証もなく、それがそのまま通用すると信じていること自体、新興宗教にはまっている人たちと変わらない。教祖(古典の著者)絶対で、反論などできないというのか。冗談じゃない。「占い」は「宗教」ではない。「聖戦」と言われて“銃を持つ人たち”と一緒にされてたまるか。自分たちの周りの人たちに当てはめて、実際に適合しているかを入念に調べて、そのうえで語ってもらいたい。人の運命と人生が掛かっているのに、なぜ丸呑みにするのか。

コンピュータの普及で、本当の占いが“片隅に追いやられて”行く危機感がある。なぜなら、本当の占いは“コンピュータ化できない”ものが多いからだ。次々誕生する「占いアプリ」も、みんな似たり寄ったりの“単純占い”ばかりだ。複雑すぎるものは“組み込めない”から「占い」ではなくなるのだ。違う。占いは「ゲームではない」のだ。面白ければ良いものではない。なぜ、時間をかけて真摯に“信じられる占い”を創造しようとはしないのか。古典的な占いを見直しながら、より“真実に近づけるもの”を探しに出ようとはしないのか。なぜ、すぐ海外の占いに答えを求めるのか。海外の方が進んでいるなどという保証は何もない。世界を回ってきたが、こと占いに関してはどこもかしこも五十歩百歩で“手探り状態”だというのが私の印象である。占いの世界は、まだまだ未開拓のジャングルなのだ。


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