素顔のひとり言

雑誌が次々となくなっていく

建設・不動産業界や、輸送・宅配業界や、食品・製造業界など、マスコミで取り上げられやすい「苦しんでいる企業」が目に留まりがちだが、あまり注目されていない分野ながら出版・雑誌業界の業績落ち込みもこのところ著しいらしい。そして、その結果として長年続いて来た雑誌が次々と休刊・廃刊に追い込まれているのだ。

例えば『スクリーン』や『現代』等がその代表だが、固定ファンがついているはずのこういった雑誌まで無くなってしまうのは何ともさびしい。私は一時期『スクリーン』を愛読していた。と云っても10代だった私は映画の中身そのものより、そこに出て来る欧米女優グラビアのあでやかさというか、セクシーさというか、そういうものに魅せられていただけだったのだが…。グラビア雑誌の少なかった時代に、映画雑誌だけは大判で美しいグラビアをたくさん掲載していた。欧米女優達がさまざまなポーズで微笑むドレス姿や水着姿は絵になるのだ。それに公開前の洋画のストーリーと何枚ものクライマックス写真、それらが想像力豊かな少年だった私には魅力的だった。考えてみると、当時はTVでもアメリカドラマを盛んに流していた。私は『逃亡者』というTVドラマが大好きで、主人公でもないのに毎回ハラハラしながら、無実のリチャードキンブルが逃げ切れることを祈りながら見入っていた。

あの当時と違って、現代における映画情報はPCやTVなどで簡単に無料で得ることが出来る。わざわざ映画雑誌などを買わなくても良いわけだ。しかも雑誌の情報は決して最新とは云えない。速さを要求される時代に入って、映画雑誌は役割を終えたのだと云えなくもない。

一時期、次々と新しい雑誌が創刊され、こんなに増えていったら書店での置き場がなくなってしまうだろう、と思うような時期があった。雑誌というのは、もちろん売り上げも重要なのだが、それよりも収益に直結するものがある。それは広告だ。この広告が沢山載っている雑誌というのは中々休刊や廃刊にはならない。広告が多数載っていれば収益は確保され、あまり売れなくても十分に採算が取れるからだ。実は、近年の雑誌業界が低迷しているのは、この広告収入が乏しくなってきていることにあるのだ。景気の良い時には広告を出す企業が増え、景気が低迷し業績が下がると、無駄な出費を抑えなければならなくなり、まず広告費が削られるのは当然と云える。

さらに雑誌業界に追い打ちをかけているのが製紙代や印刷インキ料金といった雑誌の根幹にかかわる部分が次々と値上げされている点だ。したがって、どうしても売上部数が伸びないと赤字幅が拡大していく。大手の出版社や雑誌社というのは、赤字ななっているからと云って、すぐ休刊や廃刊にはしない。社会的使命のようなものも存在している分野だけに、他の黒字雑誌で相殺しようとする。ところが、ここに来て売上以外の部分で、黒字だった部門までが危うい状態となって、万事休すとなってしまったのが『スクリーン』等の雑誌なのだ。

問題は、その先にある。雑誌そのものの売り上げも、不景気が長引くと総体的に落ちていくのは必至だ。製紙代やインキ料金は下がりそうもない。広告の伸びは期待できない。元来が雑誌広告の料金は高いので、発行部数が下降する雑誌に広告主は金を出そうと思わない。インターネットの広告なら、はるかに安い。そのインターネットで買い物をする若い人たちが増えて来ている。特に海外からの輸入品を扱っているネット販売の売り上げが伸びている。これは通販雑誌と合わせて売り上げが拡大中なのだ。これはガソリンの高止まりと無関係ではない。

郊外の大型ショップへと車で出掛けるよりも、自宅からネットで注文した方が安く上がる。おまけに円高が進めば、海外からの輸入品はこれまでよりも安く買える。海外から発信されたファッションなどは円高となってくれた方が良いのだ。ガソリン代もかからない。以前はパソコンからしか不可能だったネット販売が、携帯電話からも可能となって、日本のネットショッピングは大いに伸びた。ネットショップは人件費が省けるので、店舗販売よりも安くできる。景気が悪くなると、これらの業界が活気づいてくるようになっているのだ。

これまで何十年も続いて来た雑誌が次々と消えていったとき、新たは時代が確実にやって来るのに違いない。


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