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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「じたばたしない」が大切と教えた本


このほどトーハンや日販の年間ランキングで共に総合1位に輝いたのが『一切なりゆき~樹木希林の言葉~』であったと公表された。実は、その3位や5位という形で、もう一冊の類似本『樹木希林120の遺言』も入っている。つまり、昨年亡くなった女優・樹木希林氏の言葉を編集した本が二冊ともランキングを飾ったということである。生前、別に“熱狂的なファン”を持っていたわけではない。どちらかと言えば、晩年までは“個性派女優”として知られていた。或る意味、60代を過ぎてから脚光を浴びたと言ってもいい。ただ若い時から“面白い女優”として注目はされていた。しかも、その頃は「悠木千帆(ゆうきちほ)」と名乗っていた。ところが、何かのオークション番組で、その“芸名”を売りに出したのだ。結局20200円で買われた。それを観て「なんて大胆な女優だろう」と思ったものだ。浅田美代子氏の母親役の「時間ですよ」や、郷ひろみ氏とデュエットした「林檎殺人事件」でも人気を集めた。私生活の方でもロックシンガーの内田裕也氏との結婚が驚きの的となった。世間的には二人のイメージが結び付かなかったからだ。実際、その結婚生活は上手くゆかず、すぐに別居生活に入った。それでも、死ぬまで離婚はしなかった。晩年は作品に恵まれたが、いくつものがんを患い、満身創痍で仕事をしていた。そのどれをとっても、スター女優の生涯ではない。顔貌から言っても、どこにでもいる“おばさん顔”である。けれども、世の中では、こういう“おばさん顔”で様々な苦労を乗り越えてきた人が、多くの人から慕われ、頼りにされているケースが多い。それを証明するように『一切なりゆき~樹木希林の言葉~』は150万部を超えるベストセラーとなった。この事実は同時に、人生の半ばを過ぎた多くの日本人が、混沌とした世の中でどう生きていけばよいか、“上から目線ではない生き方”を求めていることの証しでもある。多くの女性が夫や恋人との関係に悩み、その距離感を探っている。40年間の別居生活というのが、本当にその答えに相応しいのかは疑問なのだが、共感性は得られそうである。また、多くの日本人ががんをはじめとする諸病に苦しんでいる。全身がんと公表しながらも、堂々と死の直前まで仕事をやり遂げた彼女は、或る意味で律儀な日本人の理想の姿なのだ。「死」とどう向き合うか「病」とどう付き合うか、医者にはない答えを読者は求めたに違いない。多分「じたばたしない」が、彼女の答えなのだ。

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