近年、ネット社会というものが発達したせいで「豪快に生きる」ということが難しくなりつつあるような気がする。あらゆる部分で“監視”が付きまとい、ちょっとしたミスとか汚点も許さないかのような“無言の規制”が敷かれている。そういう比較的初期の頃に、この人の発言は飛び出した。映画の初日舞台挨拶で意気込みを訊かれて「別に…」と発言したのだ。その後、この人は「エリカ様」と呼ばれるようになった。けれども、それは蔑称で老若男女からの“猛バッシング”を受けることになる。それが、昨日、来年1月からのNHK大河ドラマの出演者発表の席では「芸能生活20周年にして、ようやく大河に出演する」と神妙に語り「自分の集大成としたい」と優等生的な発言を繰り返した。来年の大河ドラマ「麒麟がくる」では、斎藤道三の娘・帰蝶役に決まった女優・沢尻エリカ氏(32歳)のことだ。変われば、変わったものである。もちろん、バッシング以外にも“結婚”と“離婚”を経験した。さまざまな経験と経緯が、本人を“大人”にさせたのだろう。ただ正直に言わせてもらうと、つまらなくなった。“普通の女優”になってしまったからだ。それでなくても、日本には“超個性派”と呼べるような俳優が少ない。「俳優」という職業は、本来、さまざまな人生やさまざまな人間を演じなければならないのだから、その本人の中にも“さまざまな要素”が備わっていることが望ましい。もちろん「常識外れになれ」と言っているのではない。ただ或る種の“傲慢さ”“我が侭”“背徳性”“蠱惑的魅力”などは、誰もが身につけられるものではない。或る種、先天性がある。だから、そういうものを備えて生まれている人は、それを失って欲しくない。或る意味で今の日本は、あまりにも“お行儀の良さ”や“協調性のある事”を絶対視し過ぎている。特に、若い人たちは、“同じような顔”“同じような性質”“同じような行動”をとるアンドロイド的生き方が“正しい”かのよう錯覚している気がしてならない。若い人たちの多くが「失敗しない生き方」を志向しているような気がしてならないのだ。けれども、失敗のない人生ほど、つまらないものはない。さまざまな失敗をすることで、人は本当の意味で人を理解するのだ。もっとも、誤解を避けるために言っておくが「傲慢さ」が許されるのは“若い時”である。40を過ぎても傲慢すぎるのは“身の程知らず”となる。この辺の違いを履き違えると“危うい生き方”となるので、その辺くれぐれもお間違えの無いように…。
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