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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「善い人」だけど「悪い人」だった


会社勤めで“部下思いの上司”というものはいるものだ。例えば、いつも部下の仕事に気を使ってくれるとか、仕事帰りに居酒屋に連れて行っておごってくれるとか、クリスマスに高級腕時計をプレゼントしてくれるとか、時には高級外車まで使って良いと買い与えてくれるとか、深夜まで仕事をする部下に自分の購入したマンションで寝泊まりして良いよとか……そんな上司がいるわけないだろう……という声が聞こえてきそうだが、実は居たのである。東京港区の介護事業を主とする人材派遣会社だ。その経理担当責任者・横尾芳雄がそうだった。彼は何故か気前が良かった。それも、そのはずで“自分の金”ではなかったのだ。何のことはない。会社の金を横領して“大盤振る舞い”していたのだった。その総額1億240万円。当然、部下たちは疑問に思った。「いやあ、僕の妻が医者をしていて裕福なんだよ」「……ありがとうございます」…本当だろうか…という心の声を飲み込む。飲み込んだ“心の声”は正しかった。彼が部署異動で変わって、後任が会社の金がなくなっていることに気付いた。けれども証拠固めに時間が必要だったのか、逮捕されたのは5年も経った2018年7月7日となった。それにしても、独身の彼がなぜ妻を医者に見立ててまで横領し、部下たちのために使ったのだろう。おそらく、彼は会社自体はこんなにも余剰金がありながら、自分たちは毎日深夜まで安い給料で“こき使われている”ことが許せなかったのだろう。そして、自分だけで使うことにも抵抗があったのだ。“金の出処”を知らなければ、部下たちは罪には問われない。実際、心の底から信じていたかどうか知らないが、部下たちは“気付かなかった”ことになっている。彼だけが逮捕されたのだ。いろいろと“お世話になった”部下四人は、せめて彼が出所したなら、どこか仕事を紹介してやるくらいの“御礼”は果たすべきである。

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