昔から“お金”と同じような扱いをされてきたものに“金貨”がある。その金貨が平成30周年記念式典に合わせて、来年2月「財務省」より「1万円金貨」として発行される。「ビットコイン」などの仮想通貨がネットの画面上で“金貨”として登場するが、実際に手にすることはできない。それに対して、この金貨の場合には実際に購入して“金貨を手にする”ことが出来る。これまでの調査からも、日本人は“電子マネー”よりも実物の“現金”が好きで、強制的にでも変えさせない限り、なかなか“現金信仰”が無くならないのではないかといわれている。そういう意味でも、この記念硬貨は人気が出そうだ。表に“羽ばたく鳳凰”が描かれ、裏に“菊の御紋”が描かれ、何となく“気品”も漂う。しかも、この金貨「1万円」硬貨なのに13万8000円もする。同じく発行される「500円銅貨」の方は、そのまま500円として販売するのに「1万円金貨」だけが13万8千円というのは、何となく納得いかないが、おそらく“仮想通貨”のように希少価値から価格が高騰し、あっという間に20万円とか30万とかで取引されるようになってしまうのではないだろうか。そうなると、実際には手に取ってみることが出来ない人たちが出てくる。だから、或る意味では実在する“仮想通貨”のようなものなのだ。そこで、もし、この1万円金貨を実際にお店などで使用したならどうなのだろう。多分、当たり前の話だが1万円として処理されるに違いない。例えば私の所へ来て「記念金貨でお支払いしてもよろしいでしょうか」と言われたなら「おつりは出ませんけど、それでもよろしければ…」ということで受け取るだろう。そうして、それをどうするか、悩んでしまいそうだ。もちろん所有し続けても良いのだが、1万円として受け取りながら、20万で“売り渡す”のは何となく気が引ける。かといって、それをすぐコンビニなどで使ってしまうのは、なぜかしらもったいなくて出来ない。こう考えてみると、ちょっと“厄介な金貨”のようにも思えてくる。通常の紙幣としての流通が難しいなら、最初から「金による切手」として発行した方が良かったのではないだろうか。
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