グレタ・トゥンベリ(16歳)氏と言えば、スウェーデンの環境活動家として今や世界的な有名人だ。私個人の感想で言わせてもらうと、あまり好きなタイプではない。けれども、最近はその発言の一つ一つが大きくマスコミで取り上げられるようになった。その結果、彼女には「敵」と「味方」が大きく分かれることにもなった。おそらく16歳にして、世界中にもっとも多くの「敵」と、もっとも多くの「味方」が存在している稀有な人物と言えるだろう。その彼女が15日ドイツの鉄道を利用した。そうして荷物とただ一人ぽつんと座っている写真を掲げて「大混雑の列車で移動中」という表現を使った。彼女自身は、ドイツ鉄道を批判したつもりはないのかもしれないが、満員で座れない区間があったと指摘している。それに対して鉄道側は「彼女はかなりの時間を座席に座っていた」と反論している。それらのやり取りを見た日本のサラリーマンからは「どこが大混雑なんだよ」という皮肉が漏れている。日本の朝の満員電車など、想像できないグレタ氏の発言は、或る意味で世間を知らない“お姫様発言”でしかない。彼女がさまざまなところで環境問題を憂い、自分なりの感想や指摘を述べるのは自由だが、何事に対しても少し“上から目線”で語り過ぎているところが私には気になる。おそらく彼女は、彼女の背後にいる“大人の環境団体”の或る種「広告塔」のような立場にいつの間にか就かされている。したがって彼女には、世界に散らばっている環境活動家たちを代弁するかのような“役割”が当て嵌められている。もはや、そこから逃れることは出来ない。けれども、彼女もいつか大人となって「言われる側」に立つだろうことを、彼女はまだ気付いていない。環境問題というと、近年に起こった問題であるかのよう誤解している人が多いが、実は古代ギリシャの時代から存在していたのだ。文明が大きく飛躍する時、必ず登場するのが環境問題なのだ。やがて彼女も老齢となって、取り残されたように窓を観ている…そういう人生だけは歩んで欲しくない。
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