橋下徹氏が「おおさか維新の会」の顧問も辞めて、完全なる(?)タレント弁護士に戻ったらしい。そう、これこそ彼の“本来の姿”だった。彼は2008年~2011年にかけて大阪府知事を務めたが、実はこの時期、もう一人のタレント知事が活躍していた。そう東国原英夫氏である。彼は2007年~2011年にかけての宮崎県知事だった。彼も現在は元の姿に戻り、政治タレントのような立場で活躍している。そして、この二人が出現する直前まで、つまり2000年~2006年まで長野県知事をしていたのが作家出身の田中康夫氏だった。彼もまた現在は作家業に戻っている。確かに、マスコミへのアピールが上手かったせいもあって、この三人共に知事時代は“華やか”だった。田中氏など“ガラス張りの知事室”まで公開し、職員の方達は余計な緊張感の中で仕事をせざるを得なかったことだろう。東国原知事時代、宮崎県は全国版のニュースにしばしば登場した。観光客も急激に増えた。橋下知事時代、大阪府が抱える問題は、そのまま日本が抱える問題でもあるかのように報道された。三人とも個性が強く、味方も多かったが敵も多かった。地域住民まで二分されたような格好となった。三人共に、このままいけば“やがて総理も狙える”かに思われるような一時期があった。けれども、ほころびも早かった。結果的に三人が果たした功績は、その地域住民の誰もが“政治に目を向けた”部分にあったのかもしれない。けれども、どこか“途中で放り投げた”印象も残った。特に橋本氏の転身は目まぐるしく、結局、誰のために政治を行っているのかよく解からなかった。忍耐強く物事を形にしていく実務は苦手だったのかもしれない。“理想だけでは突っ走れない”という印象を残して、彼は政界から去った。こうして、三人のタレントは本来の土俵に戻ったが、誰も彼らに「政治家に戻ってほしい」とは、もう思わない。
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