【80年前に掲載された実例手型】

手相を実際に研究する場合、実例を基として研究するのが一番良いのですが、今現在を生きている方の場合は、個人情報的な意味合いもあって、なかなか全面的に公開出来ません。そこで、すでに故人となっている外国の著名人の実例手型を基に解説をすることにいたしました。主要な履歴も付け加え、特徴のある部分のみの手相解説にとどめ、読者自身がデータ的に活用して研究できるよう配慮しています。

【実例4=A・アレキン博士】

A・アレキン博士手相1
A・アレキン博士手相2

【主要な履歴】

  • 1892年11月生まれ。世界チェス選手権保持者(1930年頃)。
  • 法律を学んで外務省に入ったが、革命に際してパリに移住。
  • パリ大で法科の学位を得、大戦中は赤十字軍として参加。
  • チェスは16歳でマスター。21歳でグレート・マスター。
  • 20回以上の国際試合で多くの世界記録を出す。
  • チェスに関しての著述多数。1927年より世界チェス選手権保持者。
  • パリ市内で弁護士を開業。

【手相の解説】

手相全体としては比較的スッキリとした掌線の配置で、細かな線をあまり見かけません。 さらに掌全体に直線的な印象の線が多く、緩やかなカーブの線を見掛けません。これは男性的でストレートな性質と、運命的に敵やライバルが出現しやすいこと、それに合理主義的な人生観とを物語るものです。 手指では薬指が太く長く、趣味がそのまま仕事となって成功していく人に多い形で、太陽線も何本かあり、薬指の長さがプラスに作用し「勝負師」らしい特徴を備えています。 また、この手相では頭脳線と感情線とが(a-f)のように繋がって一体化し、俗にいう「マスカケ型」となっている半面、頭脳線は(a-e)のような線としても刻まれ、感情線はその途中(g)で急に方向転換し、結果的に(f-h)のような特異な形状の線としても刻まれています。 つまり、頭脳線、感情線ともに“特殊な形状の二重(分岐)線”であり、彼の頭脳や推理が複雑な戦いに有利な“二重人格的要素”を備えていたことを物語っています。 よく手相の本の中で「二重頭脳線」に対して「成功者の相」として紹介されていますが、私の経験からいえば、必ずしも成功者とか天才的頭脳などとは言えないもので、矛盾の多い性質や生活を送っているケースも多いものです。それというのも周囲から見ると「何を考えているかわからない」ように見えやすいからで、「二つの仕事」を持っている場合や「一人二役を演じている」場合には元々の性質が大いに役立ち、矛盾なく、思う存分才能を発揮できるのが特徴です。小説家…特に推理小説家には大変向いている相です。また役者・俳優としても成功しやすい相です。分岐型の二重線の場合は、異なったふたつの分野の仕事を兼業していく形がもっとも向いています。 彼の場合、10代からチェスの分野で活躍する一方、法律家として、或いは軍人としても活躍していたことで“典型的な二重(分岐)線”が生かされています。 彼の場合、生命線(a-d)と運命線(c-i)の(c-b)部分が完全に一体化し、その結果、生命(運命)線と頭脳線(a-e)と水星線(c-e)で、極めて大きな“二等辺三角形”(火星三角形の中の「外部三角形」)が形成されています。同時に、やや不明確ながら上部の生命線―運命線―頭脳線前半の三本による「内部三角形」も、小型の“二等辺三角形”として表出されています。 彼の場合、頭脳線の後半部分(j-e)と、感情線の後半部分(g-h)とが、かなり急角度で斜めになりながらも平行して刻まれ、頭脳線と感情線との中間に細長く“特異な長方形”を描いています。通常、火星四角形は“やや斜め”になることはあっても、これほど急角度の斜めに描かれることは稀で、その点でも注目すべき手相なのです。もちろん、その一方で「マスカケ型」も形成しているので、合理的意識が強く働き過ぎると“人間的な包容力”には多少欠ける部分があったかもしれません。 けれども、この特異な形状の火星四角形は勘や閃きに優れ、独創力にも富んでいて、他のチェス選手を凌駕する特異な戦法を発揮し続けていたことでしょう。 おそらく弁護士としても辣腕をふるったに違いないのです。