ときどき“わからない”ことを言う人達がいる。世界気象機関の人達だ。昨年も確実に“地球温暖化”が進行している証拠がまた一つ見つかったというのだ。そういうことを言われて久しい。というか、そういうことを“信じかけて”久しい。けれども、問題は“今日の雪”、今日の“寒さ”、今日の“体感温度”。極寒波が来る―という地域での暮らし。アメリカさんだって、先日、シカゴ郊外でマイナス40度と騒いでいた。北海道は、そこまではいかないが、それでも日本一寒い町=陸別町とかならマイナス30度にはなる。百年以上前の記録でも良いなら、旭川でマイナス41度の日もあった。とにかく北海道は寒いのだ。そして明日は“極寒波”がやって来るのだ。だから“地球温暖化”など体感的には信じられない。明日は最高気温でも札幌でマイナス10度を超えないらしい。最低気温ではなく、最高気温がだ。つまり一日中、寒さに震えていなければならない。私は何故か寒くなると、幼い頃を思い出す。幼い頃のストーブの中、オレンジ色に“燃える火”が聖母のように輝いて見えた頃のことだ。昔の北国の子供たちは、真冬、輪になってストーブの前に集まり、その中で優雅に“燃える火”を黙って、いつまでも聖母であるかのごとくに見つめ続けていた。今は、残念ながら、そういうストーブは無くなった。子供達も集まらなくなった。部屋のどこに居ても暖かくなってしまった。“聖母”など、どこにもいないストーブに変わった。炎の揺らめきは消えて、膝を抱えるという“温まり方”もなくなった。寒いのは嫌いだが、あの“燃える火”を黙って見つめ続ける子供たちの“輪”は、本当に“絵”になって素晴らしかった。そうして、その“輪”の中には、確かに聖母が降りて来ていたのだ。どんなガキ大将も黙らせてしまう“不思議な優しさ”があった。札幌の「雪まつり」は確かに美しい。けれども、それは“人工的な美”だ。誰も命令したわけでもなく、指示したわけでもなく、黙っているのに集まって来て、いつの間にか“輪”になって、膝を抱えて、ただ黙って“燃える火”を見つめている。極寒の中で「炎」だけが、“妖しい微笑み”で踊り続けている。
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