私たちは誰でも何かに入会するときとか、大きなローンを組む時とか、仕事上の取引を行う時とかに「規約書」や「誓約書」にサインをさせられます。そこには万一アクシデントが生じたときなどの注意事項が記されているのが普通です。つまりはサインによって双方の「約束事」が成立しているのです。もっとも「規約書」や「誓約書」というのは一応の決まり事なので、それをいちいちチェックすることはめったにありません。九割方は“不必要な約束”に署名していることになります。けれども署名しているので「公的な約束」として“法的な拘束力”を持っています。ところが家族とか親友とは何の「約束事」も取り交わしていません。つまり公的には、仮にアクシデントが生じたとしても、何らの責任も負担も生じることはありません。そうはいっても実際には双方に「見えない約束」があって、それは“署名した約束事”よりもはるかに強くて、ただの一度も「指切り」など交わしていないのに、絶対に「破られることのない約束」が双方を結び付けているものです。
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