 |
vol.2 大アルカナ「2」=女教皇(女司祭) |

大アルカナカードの「2」に指定されているのが、一般に「女教皇」(又は女司祭)と呼ばれているカードです。本来、「教皇」というのは、キリスト教で使われる言葉で、教会内での最高権力者を意味しています。したがって、一般的なタロットカードでは、そういった服装や冠を与えている図柄が多いものです。
エジプト系のカードにおいては、当然のことながら、時代背景は古代エジプト王国となり、もはやキリスト教は存在しません。古代エジプトの呪術信仰において、もっとも権威を持っていたのは、「エジプトの母」とも呼ばれる「イシス女神」の存在で、その進化系(神殿内における化身)ともいえる「ハトホル女神」を描いたカードが多いようです。
特に、「カラシマ・タロット」では、明確に「ハトホル」と表示しています。
元々、「ハトホル」のヒエログリフ(聖刻文字)は、神殿内に隼が描かれる、ことで表現されます。古代エジプトにおいて、「隼(ハヤブサ)」は、神々の中の王で、3000年間に渡って王国の主神でした。
ハトホルのヒエログリフが、「神殿内のハヤブサ」だったのは、この女神が天空に深く関わっていることを象徴しています。隼は、その名のごとくマッハのスピードで飛ぶ鳥です。北海道では、室蘭の地球岬に生息する鳥、として知られています。
「ネフェルタリー・タロット」以外の3カードは、いずれも女神の頭上に、独特のシンボルが描かれています。
この奇妙な形のシンボルは、「牛の角の間に太陽」を描いたもので、実は、夜空の星シリウスを図像化したものなのです。どうして、牛の角の間に太陽、でシリウスなのかというと、古代エジプト人たちは、「天空船にうずくまっている牛の姿」を、シリウスとして天井壁画に描き残しているからです。
古代エジプト人たちにとって、シリウスは特別な存在です。
古代エジプト王国は、雨の降らない地域で、高温なため、大地が乾燥します。当然、そのままでは作物が収穫できません。作物が育たなければ、人間も生きていくことが出来ません。ところが、エジプト王国を南北に流れるナイル川は、毎年一定の時期が来ると増水し、氾濫し、乾ききった大地に「恵みの水」をもたらしたのです。
その結果、古代エジプト人たちは豊富な作物に恵まれて暮らすことが出来たのでした。
その「恵みの水」である増水の時期を、予告する星がシリウスだったのです。つまり、東の水平線に太陽の夜明けの輝きが微かに見え始めるとき、同時に、その横にシリウスも輝いていたなら、ナイルの増水が始まるサインとなるのです。古代の神官たちにとって、それは「神の予告」以外の何ものでもなかったのです。
シリウス=天空船にうずくまっている「牛の角」が描かれ、その角の間に、太陽が描かれたシンボルが頭上に乗せられているのは、そのせいなのです。
「アンセント・タロット」と「カラシマ・タロット」では、ハトホル女神は、手に特異な形の鍵のような物を握っています。この鍵のような物を「アンク十字」と呼びます。古代エジプトの神々が、しばしば握っているもので、「永遠の生命」を意味するシンボル形です。この「アンク」という言葉は、中王国時代のギザのスフィンクスに対して、与えられていた名称でもあります。正しくは、「シェスプ・アンク(永遠の生命の彫像)」です。この言葉から、古代ギリシャ人は「スピンクス=スフィンクス」という言葉を作り、それが今日世界的に知られる名称となっているのです。
アンク十字は、永遠の生命を与えられている神々しか手に握っていません。その点から云っても、スフィンクスは、神としての彫像なのです。
古代エジプトにおいては、「ハトホル」は「イシス」の進化系なので、時として、この二人の女神は同一視されることもあります。今日に伝わる魔術結社のいくつかは、古代エジプトの呪術「イシス魔術」の流れを汲んでいます。一般的なタロットの解釈で、「女教皇」のカードに、神秘的な能力や知恵を認めているのはそのせいです。
古代エジプトの象徴王ホルスを養い育てた証として、教育者としての力も与えられているようです。 |

 |