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vol.3 大アルカナ「3」= 女帝(王妃) |

大アルカナの「3」に指定されているのが、一般に「女帝」と呼ばれているカードです。古代ギリシャ以降の解釈では、このカードに対して、大地と海を豊かにする女王デメテールを当てていることが多いようです。もちろん、エジプト系カード解釈では、カラシマ・タロットに名称が示されているように、「2」のカードとも関係している古代エジプト原初の王妃であり、女神でもある「イシス」が当てられています。「2」と「3」のカードが、関連していることの証明として、その王冠には共通したところがあって、「2」で説明したようにシリウスを象徴したものとなっているのです。
エジプト原初の王妃イシスは、「慈愛に満ちた母」としての側面を持っているのですが、それはイシス=シリウスとして扱われてきたことと無関係ではありません。夜明け直前の東の空に、太陽の最初の光と、その横にシリウスの輝きとが同時に出現するとき、それはナイル川の増水を予告するサインともなっていました。そして、それがやがては乾ききった大地への氾濫を招き、その結果として作物が実り始める、という図式を導いていました。古代エジプト人たちにとって、増水=氾濫は、神が与えてくれた恵みの水として意識されたのは当然です。原初の母であるイシスは、ここで女神となり、悪神セトに殺された夫であり、エジプト原初の王でもあるオシリス神を喪ったことへの嘆きの涙として、増水はもたらされた、という伝説へと進んで行くのです。つまり、シリウスの化身イシスの涙が、そのまま増水=氾濫を呼び起こし、エジプトに豊穣をもたらすのだ、という解釈です。さらに、イシスは、夫オシリスとの愛の結晶である息子ホルスを独りで産み、育て上げます。伝説上では、箱詰めにされてナイル川に流された夫オシリスの遺体を追って、ビブロスまで旅して遺体を探し当てます。そして、魔術により夫を復活させるのですが、再び、セトに殺されてしまいます。今度は、その遺体は14の肉片にされてナイル川へと流されてしまうのです。イシスは再び夫を探し出しますが、性器の肉片だけが見つからなかった、とされています。それでも、魔女として性器を甦生させ、復讐をきして、身籠ることに成功するのです。オシリスとの児でなければ復讐は果たせないからです。こうして、悪神セトの執拗な追跡を逃れながら、王子ホルスを成人させ、そのホルスが父王の仇を討つのです。その後、3000年間にわたって、エジプトでは、ホルス神が主神として、国家神として君臨し続けるのです。そういう背景があって、イシスは「慈愛に満ちた母」とされているのです。同時に、「魔術の女神」としても恐れられているのです。エジプトのイシスは、実は、原始キリスト教の「聖母マリア」の原型でもあるのです。
長崎に伝えられたキリスト教は、実際には聖母マリア信仰として普及したのですが、ナイルの岸辺で、パピルスの茂みに隠れ住みながらホルスを育てた、というエジプト伝説は、迫害・弾圧されながらもイエスではなく、聖母マリアの奇跡を信じ続けた島原の人たちの信仰に、何か共通するものがあるかに思われてなりません。 |

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