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Vol.16大アルカナ「16」=塔 |

エジプト系四枚のカードの内、カラシマ・タロットが「ピラミッド」を表わし、アンセント・カードはピラミッドとオベリスクの双方を描き、ネフェルタリー・カードはオベリスクのみを表わし、トート・カードはそのどちらでもないバビロニア系ジグラットのような塔が描かれているようです。ただ、いずれも塔が崩壊・破壊する瞬間を描こうとしているようです。
エジプト学者の研究によると、ピラミッドは建造途中で放棄したものも含めると80基以上建てたそうですが、第三王朝期から第四王朝期にかけてのもの以外は完全に崩壊しています。
オベリスクの方も、新王国時代にたくさん建立されましたが、そのほとんどが破壊されました。エジプトではありませんがトート・カードに描かれたジグラットも、レンガ造りで脆くその跡形さえもありません。
つまり、古代に建てられた塔の中で、今もその威容を誇っているのは、ギザの三大ピラミッドをはじめとするいくつかのピラミッド、及びカルナックのオベリスクだけにすぎないのです。カラシマ・タロットとトート・タロットでは崩壊する塔から、落下していく人間が描かれています。ウエイト系のタロットではこの点がもっと強調され、王冠をかぶった人間が塔から投げ出されています。
ピラミッドの建造理由については、昔は王墓とする仮説が大勢を占めていましたが、現在は様々な仮説が入り乱れて、正統エジプト学でさえも統一された仮説とはなっていません。ただ、ピラミッドはそうなのですが、ほぼ同時代に建てられたバビロニアのジグラットの方は、その建造理由は明確で「神の家」としての七段の塔でした。この場合の「神」とは「惑星神」で、古代の七惑星を意図した七段だったのです。その証拠に格段には惑星に基づく色が塗られていた、とされています。そうしてその最上段の上には金の神殿が作られ、神々が飛来出来るように祭壇やベッドも置かれていたようです。
一方オベリスクの方は、王の業績をたたえる記念碑としての役割が第一で、太陽光や柱影を利用した天文学的役割が第二だったよう考えられています。いずれにしろ、意図的に破壊されたのは主としてピラミッドの方で、ギザの三大ピラミッド以降のピラミッドは、外見的に石屑の山と化してしまっているのが現状です。奇跡的に残り続けたギザのピラミッドにしても、その保護が叫ばれ出したのは19世紀に入ってからで、それまでは外装石を剥がすとか、内部を破壊するなど身勝手な探索・略奪が続いていたのです。しかもそれは建造されて間もなくの頃から、4000年以上も続けられたと云うことが解かって来ているのです。
ピラミッドからの略奪の様子を嘆いた『イプエルの訓戒』と呼ばれる記録が残っています。
「見よ、長い間、起こらなかったようなことが起きている。王が民衆によって地位を失くしたのだ。見よ、神王としてハヤブサ姿で葬られた者が、棺から引きずり出されていて、ピラミッド内部に隠されていた財宝も空になっている。見よ、少数のやり方も知らない者たちによって、国土から王権が完全に奪われてしまっている…」
よく、大ピラミッドはアラブのカリフ・アル・マムーンが強引にトンネルを掘って入り込むまで、誰も侵入していなかったと記してある研究書がありますが、それは間違いです。アル・マムーンは決して最初の侵入者などではありません。新王国時代のラムセス二世の時代、ギザの大ピラミッドと第二ピラミッドとは大規模な修復工事を行った、と記録されているのです。つまり、それまでの間に、もう大ピラミッド内のミイラや財宝などは持ち出されていた可能性が高いのです。多分、ラムセス二世は、荒廃しきっていた当時のピラミッドを本来の姿に戻そうと修復したのだと思われます。その時に本来の入り口も塞がれて、それから後はアル・マムーンまで侵入者がいなかった、と云うのが正しい解釈だと思われるのです。
実占上の解釈としては、社会的な地位の失脚、財産の喪失、職場や住居の崩壊など、予期せぬ事態が発生しやすい状況が考えられます。おごれる気持ちを持たぬよう努めることが大切なときと云えます。
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