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vol.17大アルカナ「17」=星 |

四枚のカードの内、三枚までが裸の女性が片立ち膝姿で川辺にいる姿で表現されています。もう一枚も洋服は身に着けているようですが、川辺であることは同一です。また、四枚のうち三枚までが二つの壺を操り、すべてのカードが星空を背景としています。これらの点から、比較的同一のデザインで統一されている珍しいカードが「17」とも云えます。
このカードも古代エジプト文明とのつながりをもろに表しているカードで、川は当然ナイル河ですし、星は全天で一番明るい星シリウスが大きく描かれ(重要なものを大きく描くのはエジプト絵画の特徴です)、頭の上にシンボルを乗せて描くのも、女神を表す時に使われる絵画手法です。ただ、そのシンボルがカードによって違っています。
アンセント・カードでは「イシス女神」のマーク、カラシマ・カードでは「ネフティス女神」のマーク、ネフェルタリー・タロットのマークは何なのか不明です。いずれにしろ、四枚とも星としてはシリウスを描こうとしていることは間違いがなく、シリウスの神格化はエジプトで「ソティス女神」とされていました。ただ、この女神は時として「イシス女神」と同一視され、ほかにも増水の神である「サティス女神」とも同一視されることがありました。つまり、ソティス(シリウス星)=イシス(ナイルの聖母)=サティス(増水の神)の三女神が同一視されるような形で、大いに信仰を集めたのです。
前にも述べたように、古代エジプトの文明を象徴するのは、ナイル河の増水→氾濫→排水の見事な季節循環にありました。雨の降らないエジプトにおいて「恵みの雨」の代わりを、増水→氾濫が務めてくれていたのです。その結果としてエジプトは稀に見る長期間文明として、継続されることになったわけです。その増水→氾濫の予告として、日の出直前の東の空でシリウスと太陽とが同時出現する神秘に、古代エジプト人たちが心を奪われ、信仰を集めたのは当然とも云えるでしょう。「17=星」のカードが、まさにそのナイルの恵みとも云うべき神秘現象を演出するソティス女神のデザイン化であることは、疑う余地もありません。
秘密結社ゴールデン・ドーンによれば、このカードの星は「シリウス」ではなく、愛の星「金星」だと主張しているようですが、それでは河との関連性が何なのか解らなくなってしまいます。
ナイル河の増水現象を、古代エジプト人たちは「イシスの涙」と表現しました。夫オシリスが殺害され、それを嘆き、悲しむイシスの涙がナイルの水量を増やす、と云う意味からの表現です。けれでも、イシスの涙はそれに終わらないで、夫の遺体を捜し出し、魔術によってオシリス王の肉体を蘇らせるのです。
エジプトにはそのほか「セシャト女神」と云う、星のマークを頭上に付けた女神が存在しています。このセシャト女神と云うのは、知恵・知識の女神であることは確かなのですが、本当の役割がよく解っていないのです。王位の継承に関連ある女神とされているようですが、ピラミッドの造営・測量にも関わっていた可能性があります。私の考えでは、最初は「測量の女神」としての役割から星のマークが頭上に示されたのだろう、と捉えています。ただし、ナイル河に関連があったとは思われません。
ソティス女神を実占上から考えた場合、古代エジプト人たちに対してそうであったように、この星が希望と収穫をもたらしてくれる吉兆の星であることは間違いありません。特に長期的な願望を占ってこのカードが出た場合、その願望は叶えられる可能性が大変強いと云えるでしょう。
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