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Vol.18 大アルカナ「18」=月 |

古代エジプト文明と云うと、どうしても太陽神主体で、月神は隅っこに追いやられてしまいがちな印象を受けます。けれども、月神が存在しなかったわけではないのです。ここに示した四枚のカードの内、カラシマ・タロットでは「コンス」と云う月神の名称を、唯一カードに対して与えています。四枚のカードに共通しているのは、大きく不気味な印象の月と「死神」のカードでも登場していた山犬の神「アヌビス」が対の形で描かれていることです。通常、山犬の神はアヌビス神ですが、稀には「ウプウアト神」と呼ばれる死者の案内人として表現されているケースもあります。どちらも死者に関わっていて、紛らわしい存在ですが、ミイラの守護神が「アヌビス」、墓地の守護神が「ウプウアト」と捉えるのが妥当でしょう。
カラシマ・タロットの「コンス神」は、通常、月神らしく三日月の上に満月を乗せたマークを頭上につけたハヤブサ神として表わされます。「アメン神の息子」又は「ハトホル女神の息子」と云う風に解釈されることもあります。月神としては、広く知られた「トト神」の存在もあります。実は、エジプトの神々をよくよく調べると、太陽神「ラー」に対しては月神「トト」が、太陽神「アメン」に対しては月神「コンス」が、それぞれ対のように語られているケースが多いのです。
さらに興味深いのは、アヌビス神とトト神とは、ミイラの「口開きの儀式」で対となって命を吹き込む役割を果たす神なのです。ネフェルタリー・タロットはこの点を強調してなのか、二頭の山犬も、二基のピラミッドも、白と黒の対比を使って描いているようです。トート・タロットでは、地下には「上昇する太陽」を意味する「ケペル神」まで描いて、古代エジプトにおいての夕方から夜にかけての地下世界の重要性を暗示させようとしています。
俗に云う『死者の書』とは、古代エジプト人たちの名称では『日の下に現れ出るための書』と云う名の書物で、「地下世界を生き抜くための書」或いは「死後生命として復活するための書」と云う風な意味合いだったと思われるのです。
そのような点から考えれば、一般に云われているほど、このカードが悪い意味ばかりをあらわしているとは思えないのです。たとえ、今現在は暗闇の中にあったとしても、やがては復活していく可能性が十分に備わっていること、悩み迷うようなことがあったとしても、導いてくれる者が必ず現れるであろうこと、自分と同じような存在を得られれば一対の形でチャンスが与えられる可能性が出て来ること、などを表わしているものと考えられるのです。
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