古代エジプト系の四枚のカードですが、それぞれに図柄は違っているようです。四枚の内ではカラシマ・カードのみ「ヌウト」と、この女神の名称を表記しています。ただ図柄で云うなら、ネフェルタリー・タロットの方が本来の「ヌウト」の図柄を忠実に表わしているようです。トート・タロットとアンセント・タロットは、図柄としてはウエイト系やマルセイユ系のカードの図柄に近く、中央に裸の女性を描き、その四方に12星座の象形と思しきものが描かれています。「おうし→しし→はやぶさ→にんげん」がアンセント・カードの星座で、「おひつじ→おうし→はげわし→にんげん」がトート・カードの星座のようです。
もちろん、これらの象形はオーソドックスな黄道12星座とは必ずしも云えません。ただ、ウエイト・カードでも「おうし→しし→わし→にんげん」の順に描かれ、ゴールデンドーン・カードでも「おうし→しし→とり→にんげん」として描かれているところから、黄道12星座に重ね合わせるとすれば「おうし座→しし座→さそり座→みずがめ座」が一応それに近いとは云えます。この場合「みずがめ座」は、「若者が水瓶を持っている象形」なので「にんげん」として、上半身だけ描いても間違いとは云えません。問題は「さそり座」で、カードでは「はやぶさ」や「わし」や「とり」として描かれ、明らかに「さそり」の象形とは異なります。もしかすると原初の黄道12星座は「さそり」ではなく、「はやぶさ」か「エジプトハゲワシ」が加わっていた可能性もあります。そうすると、12星座として見事に符合するからです。この場合、春分点が「おうし座」にあった時代からの伝承であった図柄デザインであると推定されます。事実、エジプトにおいて初期王朝が開始され始めた時代、おうし座位置のアルデバラン→しし座位置のレグルス→さそり座位置のアンタレス→みずがめ座位置のホマルハウトの四つの目立つ恒星が、天空上でほぼ大十字形を描きながら輝いていたのです。
ネフェルタリー・タロットの「ヌウト女神」は、古代エジプトの天地創造神話に忠実な台形型に手肢を伸ばしている女神の姿で描かれています。「天空の女神」とされているだけに、大地を覆うように手足を伸ばしているのが本来の姿なのです。この図解では分かりにくいのですが、本当は古代エジプトの墓の形=台形墓(ピラミッド形ではありません)に由来する姿なのです。何故なら、ミイラとなった遺体は来世で復活するはずだからです。つまり、ヌウトが支えている天空は、実際の天蓋と云うよりも、復活した来世における天空を表わしているのです。その証拠に、ミイラを納めるミイラ型棺の蓋には、必ず「ヌウト女神」が覆いかぶさるように描かれていたのです。
実占上における「世界」のカードは、古代エジプト人たちが夢見た来世の理想的姿であり、愛情に満ちた完成された女神の姿でした。したがって、昔からの理想や願望が叶うしるしとして、出現するカードと考えても良いでしょう。また、世界や海外に関連あることに対して、特に好結果をもたらす予告ともなりそうです。 |